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Oct 9, 2018

林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん!


海岸線を走る国道1号線、東海道興津宿から車で30分ほど。向かう先は静岡県静岡市清水区興津川上流に挟まれるように位置する「両河内(りょうごうち)」と呼ばれる地域。両河内は古くから銘茶の隠れ里といわれています。その両河内へ、熱い静岡茶男子に会いに行ってきました!  


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(萌黄色の茶畑に映える爽やかなイケメン、豊好園・園主の片平次郎さんです! Photo by yoriko Kitajima)



お茶農家になりたかった。父のようになりたかった

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(富士山の雲海と朝夕立ち上る霧が茶園を覆い、うま味の強い茶が出来るという。雲の向こうに富士山がある。Photo by yoriko Kitajima)



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はやし「次郎さんは両河内で茶園を営む『豊好園』三代目の園主でいらっしゃいます。お茶農家のご長男として生まれて…?」


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ジローさん「いや、僕は次男です。だから次郎です(笑)」


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はやし「では、どういった経緯で豊好園を継ぐことになったのでしょう」


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ジローさん「お茶の仕事を楽しそうにしている父が大好きだったからでしょうね。父は特に朝が早くて夜明け前から畑で一仕事して帰ってくると、すごくテンションが高くて、朝食の席でもずっとお茶の話をしていました。寝ぼけまなこで父の話を聞きながら、お茶の仕事は楽しいに違いないと思っていました」


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(ジローさんのお父様、豊さんにお目にかかりました。イギリス人のアランさんと。Photo by yoriko kitajima)



兄弟の誰よりもお茶の仕事を手伝うのが好きで、小学生ですでに工場で機械の掃除をしたり、畑でお茶刈り機を握っていたというジローさん。東京農大の短期大学部を卒業後、20歳で迷わず家業の豊好園を継ぎます。3年目で一緒に揉んだ豊好園のかぶせ茶が全国品評会で3位になったりと、着実に茶農家としての実力をつけてはいたものの、茶業界は一番茶の単価が下がり始めていました。


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はやし「そんな厳しい時代でも茶業に絶望しなかったのはなぜですか」


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ジローさん「20代は本当にクソ貧乏でした。それでも、自分にはお茶しかなかったし、お茶しかやりたくなかった。だから、どうしたらいいかを一生懸命考えましたね」


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はやし「なにか好転するきっかけがあったのですか」


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ジローさん「経営を根本的に見直すことが必要だと痛感していました。当時、豊好園では、ヤブキタ品種をほぼ個人向けに売って、その頃作り始めた品種茶を市場に卸していました。安定した売り上げのためにヤブキタを市場に出し、市場では単価の安い品種茶を店頭販売に、変えていったのです」


「26歳の時に静岡県から『青年農業士』に認定され、いろいろな生産者さんと出会い、商品開発などを手がけました。そうして商品開発した『苺が浮かぶ、紅茶。』が『世界緑茶コンテスト』で最高金賞を受賞しました」


林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん! photo

ジローさん「自分で考えて売り上げを作っていけば、自営業は何とかなるぞと思えました。

仕事が楽しくて仕方がなかったです」




ジローさんはお茶以外に興味がないらしい

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林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん! photo

はやし「前回お会いした時とイメージが違います。髪の色は黒かった気が…」


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ジローさん「じつは髪形にも服装にもこだわりがなくて、いつもお任せする美容師さんにお願いして気が付いたら金髪になっていたんです。僕はお茶以外のことに全く興味がありません。お茶以外はどうでもいい!お茶だけやっていたいんです!そんな風だから、学生時代から付き合って結婚した女性には愛想つかされてしまいました」


林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん! photo

はやし「えええっ!」


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ジローさん「家庭サービスゼロだったので…」


林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん! photo

はやし「なるほど…。そんなジローさんも数年前に美しい奥様と出会われ、再婚。とてもお幸せそうです。家族サービスは大事にしてくださいね!」




豊好園の銘茶をいただきました!

林夏子の「はてしないお茶物語」vol.2 銘茶の隠れ里にすむイケメンお茶男子、ジローさん! photo

(かぶせ茶を育てる棚のかぶせ茶園。Photo by yoriko kitajima)



隅々まで手入れの行き届いた美しい豊好園の茶園にはヤブキタ以外の品種茶がなんと20種類以上。ジローさんは5度以上も気温差のある茶園で毎日土壌やお茶の木との対話を繰り返しながら、適切に管理しています。

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(針のように細く長い美しい茶葉が豊好園の匠の技の証。Photo by yoriko kitajima)



ジローさんから「東風(はるかぜ)」と「かぶせ」お茶を淹れていただきました。

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(急須を持つ姿も絵になる急須男子!)



茶葉の味を楽しめる浅蒸し仕立て。畑で摘採した茶葉の香りがそのまま生きたお茶に仕上げられています。

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(かぶせ茶は水出しでいただきました。Photo by yoriko kitajima)



「緑茶」という言葉からイメージされる緑色の日本茶とは程遠い、とろりクリアな薄い黄色。一口いただきます!葉の濃い香りと舌の上に踊るうま味。普段、日本茶だと思って飲んでいたものとは全く違う味と香り。すごく美味しいです!




「ぐりむ」という第二ステージ

豊好園の経営を4年前から完全にお父様から任されたジローさん。豊好園の売り上げは順調に推移しているとのこと!そして、2017年には豊好園の枠を超えた新しい挑戦をされます。経営者の高齢化で廃業する予定だった茶工場を買い取り、「農業生産法人ぐりむ」をスタートさせたのです。

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(「ぐりむ」は仲間たちとの海賊船だ、と話す次郎さん。ワクワク感が伝わってきます!)



「茶価の低下」「売り上げの低迷」「後継者不足」と逆風の吹くお茶業界。その中にあってジローさんは「ツイてる」「ラッキー」とポジティブに捉え、「静岡でお茶やっててよかった」とキラキラした笑顔で話す「異端児」。


「ぐりむ」では農家の方が処理しきれない茶葉を買い取ったり、手入れが出来ずに放棄された茶園を借り、そこから摘採した茶葉を工場で加工し、主にペットボトル飲料用の茶葉として農協や市場に卸しています。高齢・後継者がいないことで管理できなくなった地主さんから「あんたになら任せるわ」と託された放棄茶園。その茶園を「ぐりむ」が本来の姿に戻しています。「茶園が荒廃していく姿を見たくないんです」と熱い思いを語るジローさん。

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(茶園に植えられるのを待つお茶の苗木。)



今シーズンも「ぐりむ」のメンバーによって続々と静岡の茶園が再生されていく計画のようです。ジローさんがはじめて茶刈機を握った少年の日から培ってきた混じりけのないお茶愛。そのお茶愛が仲間や周りの人々に伝染し、ファンを作り、実行力となっています。ジローさんがこれから静岡のお茶の歴史をどんな風に変えていくのか。ますます目が離せません!



雲海を望む茶畑見学ツアー(要予約・3時間 お一人様 3,000円)やお茶飲み会(毎年11月23日、豊好園にて開催される豊好園ファン感謝祭)でジローさんに会うことができます。

お茶は店頭販売の他、通信販売にも対応しています。詳しくはお問い合わせを。

Tel : 054-396-3336 

Mail : houkouen@gmail.com

HP : 茶に心をのせて豊好園ホームページ

北島 順子 photostylist & foodcoordinator



【林夏子のはてしないお茶物語】のHPが出来上がりました!!!

ぜひこちらからもご覧ください。

https://www.hateshinai-ocha-monogatari.com/