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Jul 6, 2019

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露”

はじめまして! 2019年度静岡ティーレポーターを務めさせていただく萬歳公重と申します。日本を代表するお茶どころである静岡県のお茶は、東京でも古くからなじみ深い存在。近年は新しいスタイルを打ち出した日本茶専門店なども都内に続々と登場し、静岡茶の魅力を再発見できる機会も増えています。本コラムでは、私が東京で体験した、ワクワクする静岡茶、日本茶の愉しさを、お届けしたいと思います。 



東京駅至近の新店は日本茶も話題!

第1回でご紹介するのは、今年6月3日にオープンしたばかりの「HIGASHIYA man 丸の内」。伝統と現代が融合した和菓子を、空間や包装、器などを含め独自の世界観で提案する「HIGASHIYA」の、「HIGASHIYA GINZA」「HIGASHIYA man」に続く新店舗です。同店では日本茶も主役。HIGASHIYA代表の緒方慎一郎さんは、日本茶の発展に寄与するさまざまな活動を手がける「茶方會(さぼえ)」を立ち上げ、「現代における喫茶の様式の創造、継承」を推進しています。同店もその実践の場の1つなのです。 

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

(香りをかげる茶葉見本。“静7132”を発見! )



入口そばの場所ではお饅頭が蒸されていて(店名の「man」とはお饅頭のこと!)、売り場にはこのほか、季節の朝生菓子や、看板商品の「ひと口果子」などの手みやげ菓子、伝統技術を生かした生活道具を開発する系列ブランド「Sゝゝ[エス]」の器などが並び、同店の美意識と手仕事のぬくもりを感じとることができます。そしてその一角に設えられているのが、約50種類もの茶葉をそろえるカウンター。菅蓋付きのオリジナルのガラスの小瓶に詰められた茶葉見本に目を奪われます。ちなみに、茶方會の茶葉は大きく7つに区分されており、煎茶と紅茶など製法の異なる茶葉の合組も提案する「合茶」や、茶葉に果物や野菜、ハーブを合わせた「ブレンド茶」など、独自性豊かなお茶も特徴的。選りすぐった産地の単一品種の茶葉を扱い、もちろん静岡茶も、牧之原産の“静7132”“やぶきた”“つゆひかり”などの深蒸煎茶や、藤枝産の三年熟成番茶など、幅広くラインアップされています。



茶房であこがれの玉露を堪能

同店ではカウンター8席の茶房も併設。茶室を彷彿させるプライベート感のある空間で、茶方會のお茶を五感で愉しめます。今回は、売り場で宝物のように陳列されているのを見つけたときから決めていた、日本三大玉露の1つ、静岡・朝比奈産“やぶきた”の手摘みの玉露をいただくことに。目の前で淹れてくださる所作の美しさにも注目です。

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

(平宝瓶から器に3回移して35℃まで湯冷まし。写真左手の柄杓は容量別に3種類)



まず、茶釜に沸く湯を柄杓にとって茶器を温め、順に湯を移して冷ましていきます。茶葉が湯に均一に浸る平宝瓶など、器はSゝゝ[エス] 製が主体。なんと柄杓もオリジナルで、30㏄、60㏄、90㏄の3種があり、玉露の1、2煎目には30㏄を使用。平宝瓶に茶葉7gを入れ、35℃まで冷ました湯をそそぎ3分待ったら、玉露用の小さな茶杯についで供されます。

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

(1煎目は玉露単体で、2煎目はお菓子と一緒に。つややかな茶葉をかたわらに)

 


平宝瓶も添えられ、茶葉の美しさや香りも愛でつついただいた1煎目は、とろんとした口あたりで旨みが凝縮された、リキュールを思い起こさせるような深みのある味わい。この朝比奈玉露は、天然の新鮮な藁を編み上げた「菰(こも)」で被覆栽培されたもので、被覆内の温度が上がりにくく、また、雨が降ると藁が含むミネラル分が地上に落ちて茶葉に伝わることから、奥行のある味と香り、長い余韻が生まれるのだとか。目の前のスタッフの方からこうしたお話が聞けるのも、カウンター席ならではです。

続く2煎目も淹れ方は同様で、数種類から選べるお菓子と一緒に供されます。今回は定番の「本蕨」をチョイス。本わらび粉100%の皮と、黒糖を使ったこしあんが口の中でスッと溶け、香り高く濃厚な玉露によく合います。

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

(3煎目はお茶請けと。締めくくりの茶葉の滋味に感動! )



3煎目は90㏄・90℃・30秒で抽出され、さわやかな渋みも印象的に。香の物や玉子焼など、お茶請けとともにいただきます。締めくくりには、茶葉をスダチとポン酢で賞味。とても柔らかく、繊細な滋味に舌鼓を打ちました。今回のセットは2200円と少し高価に思われるかもしれませんが、朝比奈玉露の魅力をゆったりと堪能でき、コース料理をいただいたような満足感がありました!



オリジナルの茶器も見どころ

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

(お茶の種類別の冷茶器は吹きガラス製。ブレンド茶用などもあるそう )



帰り際に売り場で目にとまったのが、冷茶用グラス。玉露、煎茶、番茶にそれぞれ適した形につくられていて、香りを逃がさないよう、杉製の蓋も付けられているのです。煎茶用はグラスの底にくぼみがあり、これは下に沈んだお茶の濁りも美しく演出するためなのだとか! 細部までのこだわりに脱帽。日本茶の愉しみ方は無限です!


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」 Vol.1「HIGASHIYA man 丸の内」の“朝比奈玉露” photo



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「HIGASHIYA man 丸の内」

東京都千代田区丸の内1-4-5 三菱UFJ信託銀行本店ビル1F

tel 03-6259-1148

営業時間 11時~20時(茶房は19時L.O.)

無休(年末年始を除く)

https://www.higashiya.com

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