Loading...

Apr 13, 2020

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を”

JR鶯谷駅から徒歩5分ほどの静かな路地に、お客がしばしば列を成すお店があります。皆のお目当ては“お餅”。ここ「月光」は“手搗き”による搗きたてのお餅が評判で、遠方からのお客も珍しくありません。ひと口食べたら忘れられない、唯一無二のお餅が注目の的ですが、もう1つの看板が日本茶。同店は「お餅と日本茶の専門店」であり、静岡茶などを楽しめるのです。極上のお餠をいただき、その余韻とともに味わう日本茶はまた格別。今回は同店のお餅と日本茶の魅力をご紹介します!



“手搗き”のお餅と日本茶の二刀流

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(設えにも心なごむ鉄瓶のスペース。後ろの壁には汲み方などの丁寧な説明が掲示されています)



入口を入ると目に飛び込んでくるのが、右手にある鉄瓶。日本茶を注文したお客が2煎目以降のお湯を汲めるよう、いつでもお湯が沸いています。「ご家庭にはあまりない設備に非日常を感じていただけたらと」と店主の堀口智一さん。鉄瓶のお湯はまろやかで、タンニンによる渋みを抑えて日本茶をおいしくするといわれています。柄杓でお湯をすくうのも、お茶を淹れる気分が盛り上がります。


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(木が基調の落ち着ける店内は12席。奥に見える法被は「祝い組」からいただいたものだそう)



堀口さんは2004年に東京・三ノ輪で同店を創業。2016年に現在地に移転しました。いわゆる脱サラで、学生時代から起業を考え、会社員をしつつテーマを模索。「和」のものがとても好きだったことから日本茶を供するお店に決め、日本茶に合うフードメニューとしてお餅を思いつき、機械ではなく自ら搗いて搗きたてを供するというコンセプトに至ったそうです。「よく見かけるカフェ的なランチや、仕入れる上生菓子などではなく、自分が思いを込めてつくった自信をもてるもの、自らのカラーを打ち出したものをご提供したいと思ったんです」と堀口さん。開業にあたり、お餅の勉強をできるお店を探したところ、なかなか見つからず、そんななか、イベントなどで餅搗きのパフォーマンスを披露している「祝い組」で学ぶ機会を得て、杵で搗くときの力のかけ方などの基本を習得。もち米の蒸かし加減や搗き具合などは開業後の仕事の積み重ねのなかで独自に追求し、体得したそうです。


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(堀口さんと妻・亜里沙さんで切り盛り。左手にセミオープンスタイルの厨房があります)



“ここでしか味わえない”お餅が大人気!

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(“手搗き”の搗きたてを堪能できる「どんぶりもち」。なめらかなのど越しがたまりません)



今回はお餅メニューから2品ご紹介します。「どんぶりもち」(餠3個・880円、餠5個・1380円)は「お餅だけで満足できる食事メニューをと思い、開発しました。“手搗き”の搗きたてだからこそ実現できる、うちならではのお餅の味わい方です」と堀口さんが自負する、同店を代表するメニュー。なめらかなお餅はコシを感じさせつつ、ごくやわらかで独特のふわふわ感があり、もち米の自然な甘みが広がります。鰹と昆布の出汁がきいた自家製出汁しょうゆがかけられており、本ワサビや辛味大根おろしなど、薬味も吟味。お箸でお餅を持ち上げるとなめらかにのび、SNSに投稿するお客も多いとか。同店に若い世代のお客も多いのは、こうしたクチコミ効果も大きいそうです。


もち米は、甘みが特徴という青森・五所川原産の減農薬の「あかりもち」。蒸かし加減もお餅の甘みやコシを左右するポイントだそう。ほどよく蒸かしたら臼に移し、もち米の状態を見ながら杵で搗きます。もち米2升につき400回以上も搗くことで、ほかにはない食感が生まれるのだとか。早朝から仕込んでもつくれる量には限りがあるため、閉店時刻前に完売となることもしばしばだそうです。


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(「月光しるこ」もユニークなメニュー。あんことショウガの相性のよさに驚かされます)



もう1品は甘味からピックアップ。とくにオリジナリティ豊かなのが、亜里沙さんも開発に携わったという「月光しるこ」(860円)。焼いたお餅と粒あんの組合せに、さらにサプライズが隠れています。粒あんに自家製のショウガペーストが混ぜ合わされているのです。ショウガペーストのさわやかな甘辛さと粒あんの調和が絶妙で、さっぱりとした後味も印象的です。



上質な深蒸し茶を煎を重ねて楽しませる

萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(「特上煎茶」の1煎目は低めの温度で旨みを前面に。常滑焼の急須にも注目です)



お餅はもちろん、日本茶にもこだわりが詰まっています。主軸の「特上煎茶」(680円)は、静岡・牧之原産の深蒸し茶。お餅に負けないしっかりとしたコクがあり、また、おいしさが伝わりやすいお茶として、深蒸し茶に着目。産地と製造場所が同一であることや、品質管理に信頼がおけることなども条件として味と香りに優れた深蒸し茶を探し求め、牧之原の農園のものを選んだそうです。1煎目は上質な茶葉の甘み・旨みが際立つよう、適温で堀口さんが丁寧に淹れたものが供されます。65~67℃で淹れているそう。2煎目以降は、お客自ら湯冷ましに鉄瓶からお湯を汲んで楽しめる趣向です。


お茶の味とともに注目したいのが、茶器。急須や湯冷ましは常滑焼で、湯冷ましは鉄瓶からお湯を汲みやすいように大きめのものが選ばれています。急須は、細かい茶葉でも目詰まりしにくい陶製のささめ茶漉しが付いたタイプ。「ふたの具合や注ぎ口、中の形状、重さや質感などは、実際に手にとってみないと正確にはわかりません。使い勝手に関わることですので実際に現地を訪れて選んでいます」と堀口さん。写真の急須は堀口さんお気に入りの「昭龍」製で、繊細でかわいらしいデザイン。国内はもとより海外でも人気の窯元なのだとか。「持っていただくとわかりますが、薄くて軽いんですよ」という堀口さんの言葉通り、とても扱いやすく、急須の深い世界により興味がわきました。


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(こうばしさとコク、さわやかな苦みのバランスがよい「そば緑茶」。すっきりした飲み心地です)



もう1品、静岡産の茶葉が使われている同店の定番茶が「そば緑茶」(680円)。静岡・菊川の「かやまえん」製で、北海道のダッタンソバの実、静岡・牧之原の煎茶、愛知県の抹茶がブレンドされています。こちらは1煎目から熱湯(約98℃)で抽出。ダッタンソバのこうばしい香りと、煎茶や抹茶の心地よい苦みやコクが融合した味わいで、健康によいといわれるルチンを豊富に含むダッタンソバを手軽に取り入れられるのもうれしい。2煎目以降は鉄瓶のお湯を急須に直接そそぎます。写真の急須は常滑焼の「北龍」製。ふたに施されたシルバーのラメがデザインのアクセントになっています。


このほか京都産の抹茶や、夏季には水出し茶も用意。また、ご紹介した2品をはじめ、ほとんどのフードメニューは静岡産のほうじ茶が1杯付き、こちらも香り高く人気。“無料サービスのお茶”的な位置づけではなく、注文ごとに丁寧に抽出し、1人でほうじ茶付きフードメニューを2品以上注文した場合などには、2杯目以上のほうじ茶を抜くこともでき、その場合は各50円引きになるそうです。


萬歳公重の「東京で出会う 心ときめく静岡茶」vol.10 「月光」の“極上のお餅とともにこだわりの日本茶を” photo

(お餅と日本茶が1枚にデザインされた、まさに同店にぴったりの「蘭字」のポスター)



さて、店内写真で気づかれたでしょうか…? 店内の壁には、幕末から大正時代にかけて輸出茶の木箱などに貼られていた木版画の華やかなラベル「蘭字」のポスターが飾られています。「ウサギがお餅を搗いている、うちにぴったりなデザインも見つけて、これは貼らなきゃと思って(笑)」と堀口さん。こうした細かな装飾も、日本茶ファンの心をくすぐります。



---------------------------------------

お餅と日本茶の専門店 月光

東京都台東区根岸3-7-18 エルアルカサル鶯谷1F

tel 03-5849-4569

12時~19時(18時30分L.O.)

土・日曜、祝日 12時~17時30分(17時L.O.)

※お餅が売り切れ次第閉店

火・水曜休

gekko-mochi.com

---------------------------------------